川端康成『古都』
『古都』という作品をご存じですか?意外と知られていない気もしますが…京都好きの方なら…是非読んでいただきたい作品です。
『古都』は京都の絵巻とも言われるほど…様々な京都、細かい京都を川端康成の鋭い目線で捉えています。
京町屋の春から幕を上げて、雪の冬に幕を閉じる『古都』…実はかなりミステリアスな作品なのです。
異常な所産・『古都』
『古都』解説・山本健吉
川端康成の小説『古都』は京都を舞台にして、一方では京都の年中行使絵巻が繰り広げられ、他方では京都各地の名所案内記をも兼ねている。全9章のうち、「春の花」「尼寺と格子」「きものの町」は春、「北山杉」「祇園祭」は夏、「秋の色」「松のみどり」「秋深い姉妹」は秋、「秋深い姉妹」の終わりごろから「冬の花」は冬である。そして、年中行使としては、花見、葵祭、鞍馬の竹伐り会、祇園祭、大文字、時代祭、北野踊、事始めなどが書かれ、名所や土地の風物としては平安神宮、嵯峨、錦の市場、西陣、御室仁和寺、植物園、加茂川堤、三尾、北山杉、鞍馬、湯葉半、チンチン電車、北野神社、上七軒、青蓮院、南禅寺、下川原町の竜村、北山しぐれ、円山公園の左阿弥その他が描かれている。
『古都』・あらすじ
佐田千重子は京呉服問屋の一人娘として何不自由なく美しく育った。千重子は中学生のとき、父母から実子でないことを知らされた。祇園の夜桜の下に寝かされていた赤ん坊があまり可愛いので、悪いと知りながら盗んだと母は言うが、千重子と父母の関係は、実の親子以上の愛で結ばれていた。ある日、千重子は友だちの正子と、清滝川沿いの北山杉の村に行くと、自分とそっくりな村の娘に出会い驚いた。暫くして、祇園祭に賑わう宵山の晩「御旅所」にお詣りに行った千重子は、そこで、七度詣りをしている瓜二つの娘と再会する。(Amazonプライムより)