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あなたの知らない京都

京都の夏‐葵祭

5月…まだ春という気持ちもしますが、二十四節気だと今年は5月6日が立夏…。桜の花びらの眩しさが未だに残っているものの、青もみじがきれいな季節になりました。その青々しい京都を飾る祭が祇園祭・時代祭と並ぶ京都三大祭の一つ、葵祭です。

コロナ禍で3年間中止になりましたが、今年、4年ぶり行列(路頭の儀)が行われる事になりました。

葵祭
葵祭として知られていますが、 正式名称は賀茂祭といわれ,上賀茂神社(上社)と下鴨神社(下社)で5月1カ月間に行われる祭礼の1日を指しています。葵祭という呼び名は,祭に葵(フタバアオイ)を多く用いたことに由来し,元禄年間(1688~1704)の再興以後呼び始められました。
一般に葵祭と呼ばれている行事は「路頭(ろとう)の儀」の事で、5つのグループから構成された総勢512名(馬36頭,牛4頭,牛車2台,腰輿<およよ>1基),約1キロメートルの行列です。
それぞれに平安時代の装束に身をかため勅使・斎王代を警固しながら,午前10時半に京都御所建礼門前を出発し,下・上両社(各社到着後,社頭の儀が行われる)に向かう約8キロメートルの行程です。
文化史 解説シート 26.葵祭 (kyoto.lg.jp)

🔹葵祭に使われているフタバアオイ

🔹ちなみに、牛車に飾られている花は藤の花です。

2023・葵祭の主な神事

流鏑馬(やぶさめ)

古くは騎射と呼ばれた流鏑馬は馬を疾走させて神をもてなし、和ませる神事。 その伝統を今に伝えて下鴨神社の流鏑馬は古式ゆかしく公家の作法と装束にて下鴨神社の馬場にて五月三日に行われます。

有料エリアは3000円になりますが、無料エリアでも観る事ができるようです。行かれる方は早めの方をお勧めします。

賀茂競馬(くらべうま)

 2頭の馬を競わせて天下太平と五穀豊穣(ほうじょう)を祈る神事である賀茂競馬は今年で930年を迎えました。あの織田信長も自分の馬を出して観覧したようです。今年は5月5日、上賀茂神社で行われました。

今年2月23日をもって廃業した『すぐきや六郎兵衛』さんの手提げバッグには賀茂競馬の様子が描かれています。
御蔭祭(みかげまつり)

御蔭山で新しくお生まれになった神の御魂を下鴨神社本殿にお迎えする御蔭祭は古代祭祀のおもかげを残す葵祭の始原の姿。その伝統を今に伝えて上高野の御蔭山と下鴨神社の切芝にて五月十二日に行われます。

葵祭の観覧スポット&巡行コース

京都新聞によると、最適の観覧スポットは、京都御苑(京都市上京区)内だそうです。私は下鴨神社でしか見た事がないですが、午前だと下鴨神社、午後は鴨川沿いの加茂街道もお勧めだそうです。

kyotostory🌸おすすめの観覧スポット&観光スポット

kyotostory🌸のおすすめの観覧スポットは御園橋周辺です。御園橋は葵祭の行列が上賀茂神社に進むための最後の橋になります。

御薗橋(みそのばし)は上賀茂神社の出前にある橋の名前で、葵祭の巡行経路の最後を飾る「神聖な橋」として知られるています。➞京都検定にも出題されていますので、京都検定を準備している方は要チェックです!御薗橋はもともとは葵祭の勅使を通すため臨時に架けられた橋で、祭礼が終わるとその都度破却、撤去していたようです。その後、江戸時代に常設されるも、水害により橋が流れるなどの試練を経て、今に至っています。今の御薗橋2021年(令和3年)に架け替えた橋で、公用が始まったのは2021年6月29日なので、かなり綺麗です。

 

上賀茂神社周辺の観光スポット

少し早めに上賀茂神社について、上賀茂神社周辺の観光はいかがですか?

太田神社のかきつばたは例年葵祭の時期が見頃と言われますが、今年は開花が早く16日は見ごろを過ぎていました。

深泥池には白いカキツバタと黄色いカキツバタ?が咲いていました。

『すぐきや六郎兵衛』さんが廃業してしまったので、『京都なり田』(京都の漬物なら京つけもの御すぐき處京都なり田 )さんに寄りました。初めてでしたが、とても綺麗なお店で、ユニークな漬物も置いてありました。

2023・巡行コース(20230514・京都新聞)

京都御苑 葵祭臨時駐車場

「葵祭」令和5年 開催日の駐車場について : 京都御苑 | 一般財団法人国民公園協会

葵祭に伴う交通規制

詳しい内容はリンク先をご確認ください➡0515kisei.pdf (pref.kyoto.jp)

葵祭有料観覧席(チケットぴあ)

2023/4/4(火) 10:00 ~からの販売で既に定員に達したため、販売終了となりました。

『古都』の中の葵祭

 
平安王朝の昔から、京都では、山といえば比叡山、祭りといえば、賀茂の祭りであったらしい。 五月十五日の、その葵祭りもすぎた 。葵祭りの勅使の列に、斎王の列が加えられるようになったのは、昭和三十一年からである。斎院にこもる前に、加茂川で身をきよめる、古式を生かしたものであるが、興に乗った、小桂(ころちぎ)すがたの命婦(みょうぶ)を先に、女婦(にょじゅ)童女らをしたがえ、伶人に楽を奏させ、斎王は十二ひとえの姿で、牛車に乗って渡る。その装いのせいの上に、斎王は女子大学生ぐらいの年ごろであるから、みやびたうちにも花やかである。(1961年11月13日 朝日新聞)

葵祭の 斎王は数千万円と言われる費用を負担できることが条件となっているようで一般公募ではなく推薦などで決められるといいます。『古都』の中ではヒロイン千重子の「学校友たちにも、この斎王にえらばれた娘があっ」て「その時は、千重子たちも賀茂の堤へ、行列を観に行った」と書かれています。

でも、その年、千重子は雨が多かった事もあって、葵祭は見逃してしまい、その代わり高尾の新録を見に行っては、北山杉まで進みます。

川端康成は「北山杉」で華やかな葵祭を先頭に置き、葵祭には、あえて千重子を入れず、高尾と北山杉を詳しく書いています。そして、その日、北山杉の苗子に重みを置いて、続く「祇園祭」での再会をほのめかす様にも考えられます。

このように、『古都』の中で葵祭は表に出ることはなく、触るだけになりますが、祇園祭と時代祭は物語の流れに大きな転機をもたらせます。

葵祭・20230516

上賀茂神社

芝生の上に拝観席の準備が行われていました。(一人1,000円)

追記予定です。

下鴨神社

下鴨神社のバス停から降りて進むと、何と、中に入れない!ロープで進入禁止になっていました。これはおかしいと思って、糺の森に行くと、糺の森からは自由に入る事ができる。その仕組みがよく分からなかったですが、葵祭に行かれる際は糺の森のバス停から進んだ方がいいかと思います。(2019年も糺の森から入った事を思い出しました)

ここから中に入る事ができませんでした。糺の森バス停からは自由に入る事ができます。真っ先に目に入るのは葵祭の記念切手仮説販売所でした。郵便局に行くとつい買ってしまう切手シート。因みに、一番の気に入りは星の王子さま切手です😊

境内には屋台がたくさん並んでいて、美味しい匂いが…。

糺の森…青もみじがとても綺麗でした。

行列が下鴨神社を出発するのは2時20分頃、時間が間に合わず、河合神社だけ寄って帰ろうとした時、『走馬の儀』のアナウンスが流れ、運がよくいい場所で観る事ができました。

馬が走ってくると、周りの方々がお疲れさまと優しい声で馬に話しかけてくださるのも祭ならではの風景でした。

河合神社

鏡絵馬(手鏡の形をした絵馬)

鏡絵馬のための化粧室があります。

とても暑かったので、冷たいお水で助かりました。値段は120円?だったと思います。

この前、そら豆を頂いたので、お返しに美人飴を購入しました。

(河合神社は…ゆっくり、別投稿予定です)

葵祭・20190515

京都の人は意外に金閣寺や清水寺などに行かないという「京都あるある」がありますが、京都のあらゆる神社やお寺観光地がバスでいつでも行けるさかい😅わざわざ、今!行かなくでもええと…ある意味…「今度に回す神社とお寺」がたくさんあるのですが、私には葵祭がそうでした。

祗園囃子が好きで祇園祭にはよく行きましたが(自分の好みというのもあります😊)葵祭は京都に来て10年以上過ぎても行こうと思った事がありません。いや、そろそろ葵祭かな?と思ったら、過ぎてしまったりすることが多かったです。

葵祭も祇園祭のように5月の一か月間行われるのですが、祇園祭のような宵(宵宵)山がないのも見逃しやすい理由だったのかもしれません。

そんな中、4年前…。仲良しママさんのお誘いでやっと行く事ができました。当時の待ち合わせ場所は畑。朝の水やりを終えて…一緒に下鴨神社へ向かいました(^///^)

下鴨神社は早くも祭モード。たくさんの人で賑やかでした。
 京都思い出図鑑
祭を待ちながらの楽しみ。おそらく境内で購入したと思います。
 そろそろ、祭を見るための場所探し。大勢の人に場所探しにもひと苦労でしたが、何とか場所を取って…待っていると、近くにはシートを敷いてわくわくしながら待っている幼稚園の園児らや一人でスマホを眺める年配の方、立派なカメラをもって木の後ろで慣れたしぐさで行列を待つ方々も…。幼稚園のお出かけ先が葵祭というのも京都ならではの事…さすがです。
京都思い出図鑑
祭りの行列が来た!と感じたのは…前の人波から伝わってくる…静かに広がる騒めき…からでした。待つ人も一つの心になるのも祭りの楽しみの一つ…。
神社の境内での祭りは時代祭とはまた違って…行列が始まると周りは一瞬タイムスリップしたような空気が漂っていました。

行列が終わると時代は一瞬にして平安から現代へ戻りました。
河合神社
京都思い出図鑑
 
せっかくの下鴨神社なので、河合神社へ寄りました。
 
 河合神社は下鴨神社の摂社として古くより祀られ、女性守護としての信仰を集めるお社である。ご祭神には神武天皇の母、玉依姫命をお祀りし、玉依姫命は玉の様に美しい事から美麗の神としての信仰も深い。河合神社ではこの美麗の祈願絵馬として鏡絵馬の授与を行っている。➞お祓いのお社 | 下鴨神社 
 
河合神社は鏡絵馬(手鏡の形をした絵馬)が有名です。鏡絵馬とは表には普段使っている化粧品などでメイクをして、裏面に願い事を書くという特々の絵馬の事で、並んでいる絵馬を見るとその個性的な面々に見入ってしまいます😊

フタバアオイ
神社境内で…フタバアオイがたくさん植えられていました。
 

京都府では2022年から講習会を受けた上で、フタアオイとヒオウギなど希少植物を自宅で育つことができるようになりました。

 (市民しんぶん・20220501)

✅希少植物の自宅育成にご興味のある方はリンク先をご確認ください➡

京都市:京都の希少な植物を御自宅で育成する取組の参加者を募集します! 

葵祭・御朱印

葵祭・源氏物語

源氏物語の中にも葵祭が登場します。その中で広く知られているのが…いわば「車争い」です。「車争い」は葵祭の当日ではなく、葵祭の関連儀式である斎院御禊(さいいんぎょけい)の日の事だそうです。葵祭と『源氏物語』

車争いで深く傷ついた御息所の怨念はやがて生霊になって葵の上にとりつく事になります。

紙本金地著色車争図        
土佐光茂筆六曲屏風 1双(指定)
〔京都市右京区御室大内 仁和寺〕
 
 
 ⋆ちょっと長いですが、『源氏物語』の中の「葵祭」を載せます。

車のこみ合う中へ幾つかの左大臣家の車が続いて出て来たので、どこへ見物の場所を取ろうかと迷うばかりであった。

(中略)

見物するのをやめて帰ろうとしたが、他の車を避よけて出て行くことは困難でできそうもない。そのうちに、「見えて来た」と言う声がした。行列をいうのである。それを聞くと、さすがに恨めしい人の姿が待たれるというのも恋する人の弱さではなかろうか。源氏は御息所の来ていることなどは少しも気がつかないのであるから、振り返ってみるはずもない。気の毒な御息所である。

紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 葵 (aozora.gr.jp)

葵祭・枕草子

葵祭・雲林院
清少納言が葵祭の斎王列を待っていた場所は紫野の辺りの雲林院といいます。今は大徳寺の塔頭になった雲林院ですが、一時期は広い敷地を誇る天台宗の寺院で菩提講で名高いお寺だったと云います。
 
雲林院に関しては別の投稿で書いておりますので、ご興味のある方はご参照ください。

 

葵祭・枕草子
葵祭は『枕草子』にも描かれています。京都新聞の特集 「第2回 枕草子 二〇五段 清少納言」の記事に『枕草子』の中の葵祭と舞台になる「上賀茂神社」について詳しく書いてありますので、興味のある方はご参照ください。
 

番外編・松尾の葵祭

『葵祭』と言えば、賀茂神社の『葵祭』と思われる方も多いと思いますが、松尾大社の松尾祭も本殿、楼門、社殿、各御旅所の本殿を含め、祭に使われる様々なものを葵と桂で飾る事で、古くから「葵祭」とも言われてきました。(松尾祭・神幸祭(おいで)・還幸祭(おかえり

 

 

まとめ

葵祭は「コロナ禍」で3年間行列が中止になっていましたが、今年は4年ぶり葵祭の行列が行われる事になりました。5月8日からコロナは季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる事が決まりましたが、まだまだ第〇波は続くと思うので、油断はできないと思います。その中で行われる祭、参加する方々も観に行かれる方も何ことなく無事で終わりますように願います。
 
以上…「京都の夏‐葵祭編」でした。

下鴨神社・上賀茂神社

下鴨神社

上賀茂神社