鎌倉殿の13人
この前、最終回を迎えた『鎌倉殿の13人』。すすり泣きだけを背景に流れる字幕には「さすか」と思いました。コロナ禍での撮影は大変な事も多かったのではと思いますが、無事に撮影が終わった事に毎週楽しみにした者として感謝です。
子供と一緒に観る「初大河ドラマ」としてスタートした「鎌倉殿の13人」。私は義経と弁慶、静御前ぐらいしか…鎌倉についてはほぼ知識ゼロだったので、あまり興味もなかったのですが、みるみるうちにハマってしまって…。一方、未だに北条を含めて登場人物の名前は殆ど分かりません。
登場人物の名前もろくにに覚える事ができずに観続けた「鎌倉殿の13人」ですが、ドラマの中で最も引かれた人物が源実朝でした。将軍という立場なのに、死に至る和田を見守ることしかできなかった実朝の涙には未だに心が揺れます。
源実朝
鎌倉幕府を開いた源頼朝の次男。兄は鎌倉幕府の第2代将軍の源頼家。
僅か…12歳に鎌倉幕府の第3代将軍となります。
その後、政治に翻弄されながらも強く自分の意志を守ろうとするが、結局、兄の息子である公暁によって1219年…28年という短い人生に幕を下ろします。
和歌をこよなく愛した源実朝は例え罪人であれ、歌を上手に作れば、その罪を許してくれる事もあったようです。
実朝は京都の藤原定家に手紙を送って和歌を教えてもらったと云います。和歌に才能があった実朝は700首に及ぶ自らの歌を集めた歌集「金槐和歌集」を残しており、百人一首にも選ばれています。
NHK「クロアチア×カナダ」戦
20日の放送で実朝が暗殺されるのではと子供は予想しましたが、ギリギリセーフで、27日になりましたが、ワールドカップで今週は見送り、まだ観ていません。
が、27日のNHkの「クロアチア×カナダ」戦の生放送で、源実朝役を演じた柿澤 勇人さんがの特別ゲストとして登場してびっくりしました。
柿澤 勇人さん、実はサッカー少年時代を経て、高校までサッカー部だったようです。ドラマの中でも蹴鞠(けまり)のシーンが出ますが、サッカーを続けたこそ、そのシーンを楽しむことができたとすれば、習い事や部活は長い人生において、必ずいつか役に立つもんだなと改めて感じました😊
役者さんによって歴史上に人物のイメージが大きく左右される事はよくある事かと思いますが、柿澤 勇人さんが演じた源実朝もそうだったのではと思います。
源実朝・百人一首
話しが変わりますが、実朝の歌は百人一首にも選ばれています。
世の中は つねにもがもな なぎさこぐ あまの小舟の 綱手かなしも -鎌倉右大臣
「世の中がいつまでも今のままでいいほしい」と始まるこの歌は、まるで実朝が自分の死を予感したかのように感じられる歌です。鎌倉の海を眺めていると、波立つ海際を漕ぐ漁師の小さい船、その船に綱手を引く様子が実朝の心にしみじみと感じ、惹かれたのでしょう。何気ない毎日の今が変わらない事を願うものの、暗殺されてしまう…彼の人生があまりにも切ないです。
後鳥羽上皇・百人一首(今後追記予定)
人もをし 人も恨めしあぢきなく 世を思ふ故に 物思ふ身は 後鳥羽院
源実朝がわずか12才に鎌倉幕府の第3代将軍となったと書いておりますが、後鳥羽上皇はなんと!4才に天皇(82代)になります。しかし早くも19才に上皇になって院政を始め、権力を握る事になります。
源実朝に「実朝」という名をつけてくれたのも後白河上皇、その実朝が成長して、和歌のやり取りができるようになった事にはさぞ嬉しい気持ちもあったのではないでしょうか。
実朝もそうでしたが、後鳥羽上皇は和歌に熱心で藤原定家を見出して、彼に新古今和歌集の編集を任せたと云います。
一方、後鳥羽上皇は鎌倉幕府との対立で悩んだ末、承久の乱を起こしますが、幕府に大敗、その後、隠岐島に流され、京都に戻る事も出来ずまま、隠岐島で60才に病死します。
もし、実朝が暗殺されなかったら…と思っちゃいますが、タイムスリップしない限り歴史は変えられないですもんね。
後鳥羽院の百人一首歌碑
後鳥羽院の百人一首歌碑は嵐山東公園にあります。
人もをし 人も恨めしあぢきなく 世を思ふ故に 物思ふ身は
➞ある時は人が愛おしく、ある時は人が恨めしい。世の中が空しく思われる私には。
この歌は承久の乱が起きる9年前の歌だそうです。既に周りを信じ切る事もできず、表と裏を察知する日々、今日の友が明日の敵というサイクルもあったでしょうか。愛おしい感情も恨めしい感情も空しい世の中では同じものかもしれません。
嵐山・百人一首歌碑
歌碑ができたのは2007年。京都の嵐山と嵯峨野を「小倉百人一首」のテーマパークにするという、京都商工会議所120周年記念事業の一環として建立されました。
長神の社地区・19首
奥野々宮地区・7首
野々宮地区・4首
嵐山公園亀山地区・49首
嵐山東地区・21首
嵐山・嵯峨野歌碑めぐりに関する詳しい地図はリンクをご確認ください。
嵐山東地区
嵐山東地区には21首の歌碑がありますが、この前、10首の歌碑を見つけました。
①「小倉百人一首」第64番
朝ぼらけ 宇治の川霧たえだえに あらわれはたる 瀬々の網代木 ― 権中納言定頼
②「小倉百人一首」第67番
春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなく立たむ名こそ惜しけれ ― 周防内侍
③「小倉百人一首」第74番
うかりける人を初瀬の山おろし激しかれとは祈らぬものを ― 源俊頼朝臣
④「小倉百人一首」第75番
契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり ― 藤原基俊
⑤「小倉百人一首」第80番
長からむ 心もしらず 黒髪の みだれてけさは 物をこそ思へ ― 待賢門院堀河
➅「小倉百人一首」第81番
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただありあけの 月ぞ残れる ― 後徳大寺左大臣
➆「小倉百人一首」第82番
思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬは涙なりけり ― 道因法師
⑧「小倉百人一首」第83番
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる ― 皇太后宮大夫俊成
⑨「小倉百人一首」第85番
夜もすがらもの思ふ頃は明けやらでのひまさへつれなかりけり ― 俊恵法師
⑩「小倉百人一首」第86番
なげけとて月やは物を思はするかこち顔なるわが涙かな ― 西行法師
嵐山公園亀山地区・百人一首
嵐山公園亀山地区には49首の「小倉百人一首」歌碑があります。
今回に載せる歌碑は百人一首の順番ではありませんので、ご了承ください。
嵐山公園亀山地区には49首の「小倉百人一首」歌碑がありますが、今まで見つけたのは24首の歌碑です。(残りの25首の「小倉百人一首」歌碑は今後追記予定です。)
①「小倉百人一首」第40番
しのぶれど色に出にけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで ー 平兼盛
➁「小倉百人一首」第41番
恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか ー 壬生忠見
➂「小倉百人一首」第44番
逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をもうらみざらまし ー 中納言朝忠
➃「小倉百人一首」第38番
忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな ー 右近
⑤「小倉百人一首」第59番
やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな ー 赤染衛門
➅「小倉百人一首」第62番
夜をこめて鳥のそらねははかるともよに逢坂の関は許さじ ― 清少納言
⑦「小倉百人一首」第26番
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆきまたな ー 貞信公
⑧「小倉百人一首」第3番
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む ー 柿本人麿
『万葉集』は、現存する日本最古の和歌集で、身分に関わらず、様々な人が読んだ歌が約4500首載せています。天才歌人と言われる柿本人麻呂は『万葉集』を代表する歌人で万葉集には100首以上の歌が載せられています。
「言の葉の庭」には「万葉集」に載せている柿本人麻呂の歌が使われて、話題を呼びました。別の投稿で書いておりますので、興味のある方はご参照ください。
➈「小倉百人一首」第5番
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき ー 猿丸大夫
⑩「小倉百人一首」第7番
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも - 安倍仲麿
⑪「小倉百人一首」第11番
わたの原 八十島かけて こぎいでぬと 人には告げよ あまのつり舟 ー 参議篁(小野篁)
小野篁については別の投稿で書いております。
⑫「小倉百人一首」第26番
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは ー 在原業平朝臣
⑬「小倉百人一首」第16番
たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む ー 中納言行平
⑭「小倉百人一首」第18番
住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人めよくらむ ー 藤原敏行朝臣
⑮「小倉百人一首」第21番
今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな ー 素性法師
⑯「小倉百人一首」第22番
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ ー文屋康秀
⑰「小倉百人一首」第30番
有明の つれなく見えし 別れより あかつきばかり うきものはなし ー 壬生忠岑
⑱「小倉百人一首」第31番
朝ぼらけ 有明の月と みるまでに 吉野の里に ふれる白雪 ー 坂上是則
⑲「小倉百人一首」第32番
山川に 風のかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり ー 春道列樹
⑳「小倉百人一首」第33番
ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ ー 紀友則
㉑「小倉百人一首」第34番
誰をかも しる人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに ー 藤原興風
㉒「小倉百人一首」第35番
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける ー 紀貫之
㉓「小倉百人一首」第36番
夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ ー 清原深養父
㉔「小倉百人一首」第43番
逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり ー 権中納言敦忠
アクセス・嵐山公園 亀山地区