星の王子さまの日:言葉のなかに静かな光が灯る『星の王子さま』

6月29日が「星の王子さまの日」である事をご存じですか?

「星の王子さまの日」は、サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』(Le Petit Prince)を記念する日です。これは著者であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの誕生日(1900年6月29日)にちなんでいます。

日本では「星の王子さまミュージアム」(神奈川県・箱根)で、毎年6月29日前後に特別なイベントや展示が行われていました。いつか行ってみたいと思っていましたが、残念ながら「星の王子さまミュージアム」は2023年に閉館してしまいました。

今回の投稿は『星の王子さま』になります。

星の王子さま

『星の王子さま』は大昔読んだ覚えがありましたが、子供に読み聞かせで読んでいるうちに昔とは全然違う発見がたくさんあって、その後も繰り返してよんだりした本です。

読むたびに新しい何かに出会える不思議な本。私は『星の王子さま』を宝箱に例えた事もあるほど、宝がたくさん詰まっている本だと思います。

しかも、その宝は年に寄ってまた使い方が違うように、子供の時と青春、大人、親になって読む『星の王子さま』には同じ宝なのにその宝に関する意識の変化が起きるのです。

『星の王子さま』・印象的な場面

「ばかだね、わたし。ごめんなさい。しあわせになってね……。」
王子はびっくりしました。思いがけなく、やさしい声だったから。
「きみのこと、すきよ。でも、きみはそれに気がつかなかったの」

「一日に44回見たこともあるよ!」
また、こうも言った。

「ねえ、知ってる……悲しいときは夕日を見ると気分が休まるんだ……」

 

ぼくはたずねた。「日の入りを44回も見た日は、とても悲しかったんだね?」

王子さまは答えなかった。

続けるうちに、王子さまの顔は薄桃色に染まってきた。

「もしだれかが、何百万もの星の中で、たった一つの星に住む花を愛したら、夜空を見上げるだけで幸せになるよ。星たちを見て、心の中で言うんだ。 「ぼくの花は、このどこかにいる………………』でも、もしヒツジがその花を食べてしまったら、突然、星がぜんぶ消えるのと同じじゃないか。それが……そうれが大事じゃないっていうんだ!」

「毎日、同じ時間に戻ってきたほうがいいね」 キツネが言った。

「きみがいつも昼の4時に来たら、ぼくは3時ごろから嬉しくなるよ。4時に近づけば近づくほど、嬉しくなるんだ。4時になったら、ぼくはもう有頂天になってるだろう。幸せとはどんなものかを知るんだ! でもきみが毎日違う時間に来たら、嬉しくなる準備をいつ始めていいのかわからないよ・・・・・。

でもきみにぼくがなついたら、ぼくたち 「お互いが必要になるんだ。ぼくにとってきみはかけがえのない、たったひ とりの存在になる。きみは世界中の他のだれとも違う存在になる。そしてぼ くはきみにとってかけがえのないものになるんだ・・・・・・」

 「ならわしってなんだい?」小さな王子さまがたずねた。

「これも、あまりにもたくさんの人が忘れてることさ」キツネは言った。

「ならわしっていうのは、一日がほかの日と、一時間がほかの時間と違うようじすることさ」

「きみがバラのために費やした時間、それがバラをこんなに大切にしたんだ」 「ぼくがバラのために費やした時間・・・・・・」

小さな王子さまは繰り返した。これを憶えておきたかったからだ。

「人は、この真実を忘れてしまった」キツネは言った。

「でもきみは忘れち いけない。きみは、なつかせたもの、心を開かせた相手には、永久に責任があるんだ。きみのバラに、責任がある・・・・・・」 

そして小さな王子さまはキツネのところに戻った。

「さよなら」小さな王子さまは言った。

「さよなら」キツネも言った。

「ぼくの秘密を教えてあげるよ。とっても作なことなんだ。ぼくたちは、心の目で見ない限り、何もはっきりと見えないんだ。一番大切なものは、目に見えないんだよ」

「一番大切なものは、目に見えない」小さな王子さまは繰り返した。

「ぼくの星を見るとき、君は思い出すんだ――ああ、あいつ、笑ってたなって。
それで……きみは、ぜったいにうれしくなる。星を見たら、ぼくがいるような気がするんだよ」

でも王子さまは、ぼくのことばに答えなかった。そしてこう言った。

「いちばん大切なものは目には見えない………………」

「ぼくの花もそうだ。どこかの星に咲いている一輪の花を愛したら、夜空を見上げるのが嬉しくなる。星がぜんぶ、花に見えるから」

「夜になったら星を見てね。ぼくの星、ぼくの家は、小さすぎて、どこにあるのかきみに見せてあげられない。でもそのほうがいいんだ。ぼくの小さな星は、たくさんの星の一つになるんだからね。だからきみは、星ぜんぶを見るのが好きになるよ。ぜんぶの星が、きみの友達になるんだ。それから、 ………………」

王子さまは、また笑った。 

ヘビは自殺幇助?

へびと星の王子さまの出会いでヘビは星の王子さまに星が恋しくてたまらない時は自分が助けになるかもしれないと言いますが、これは今ぞ自殺幇助ではないかという事が今回初めて浮かびました。結局、星の王子さまはヘビにかまれるのだから。

星の王子さまが星に戻ったという解釈が多いようですが、彼の体は確かに死を迎えるのです。

今の世の中、「力になるよ」と囁く人がいて、その人の力を借りるとしても、星には戻れませんので、ご注意ください。

星の王子さまとバラの花

星の王子さまとバラの花に関するないようは別投稿しておりますので、ご興味のある方はリンク先をご参照ください。

星の王子さま切手

2019年郵便局で購入した『星の王子さま』の切手になります。恐らく、一生、使う事は出来ないと思いますが、持っているだけで心が満たされます。

新潮文庫の100冊

✅『星の王子さま』の本は新潮文庫がお勧めです。この夏、本屋さんで新潮文庫の100冊を購入すると可愛らしいしおりがもらえるので、買うなら、今!でしょう。(写真は昨年のしおりになります)

まとめ

『星の王子さま』は大好きな本ですが、何回読んでもなかなか、ストーリーが浮かばない本でのもあります。しかしながら、「砂漠が美しいのはどこかにオアシスがあるから」、「大事なものは目には見えない」など、名言は次々と浮かぶ本でもあります。

宝箱のように、ページをめぐるとどこかで光る文章にきっと出会える『星の王子さま』。

今日は『星の王子さま』と共に言葉のなかに静かな光が灯るような時間をお過ごしになるのはいかがですか?