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あなたの知らない京都

「みんなの本棚」:ジャン・グルニエ『孤島(Les Îles)』

韓国語版・섬(島)

こちらの本は、大昔に読んだ本で、内容もほとんど覚えていません。けれど昨年、実家で再び見つかりました。

実家に行く前、なぜか無性にこの本を読みたくなり、帰省中に何気なく手に取った埃だらけの段ボールの中に、嘘のように入っていたのです。その瞬間、この本とは不思議なご縁でつながっているのだと感じました。

色は完全に変色したものの、中に書いてある内容は褪せません。線が引いてある部分を読みながら、あの時の自分に出会える気もしました。

この前、子どもにプレゼントするため、日本語版も購入しました。この本が、これから先も長く、人生のお友だちのような存在になってくれたらと願っています。

『孤島(Les Îles)』

『孤島』は、答えをくれる本ではありません。むしろ、考えを途中で止める勇気を教えてくれる本です。島々(Les Îles)という題名のとおり、ひとつひとつの随想は、陸続きにならない思考の断片のようで、読者はその間の海を、自分の速度で渡ることになります。

日が暮れる時、眠りにつく時、それから目覚める時、私は1日3回怖い。自分が獲得したと思ったものがこうやって私に背を向ける3回…虚空に向けて窓を開けるあの瞬間が私は怖い。

本の中でも最も印象的な一句といえば、眩しい光で包まれるような「空の魅惑」の章の始まりです。

また、「猫のムル」の章を読むと、いつか自分も猫を飼ってみたいという思いがより強くなりました。が、いつか来る別れを考えるとやっぱりとどまってしまう。また、病気になった時を考えても同じ、それだけ、猫のためお金を使える事ができるか、そこですべて諦めてしまう。

私は彼を愛している。ムルは私が目覚める度に世界と私の間に再び蘇るあの距離感を消してくれる。

「ムル」は安楽死で虹の橋を渡ります。その選択は飼い主がすべての可能性を考えた末の決断。今の時代、動物の安楽死は正当な別れになりますが、あの昔もそうだったのかと思うと…少し違ったのではと思います。

ちなみに、韓国ではこの本はタイトルが『島(섬)』と訳されており、今回、図書館で本を探した際、日本語訳で『孤』がついているのを少し不思議に思いました。島と孤島、その差はなんどろうかと。島は元々孤独な存在だと思います。それにあえて「孤島」と訳す…。少し考えさせられました。日本語版のタイトルは、内容の孤立感や内省的な雰囲気をより強く伝えるための翻訳上の工夫かもしれません。

まだ韓国語版を読み終えてはいませんが、読み終えたら、今度は日本語版も読んでみたいと思っています。

もし、にぎやかな場所で少し息が詰まったとき、この本を手に取ってもらえたら。読み切れなくても、理解できなくても構いません。ただ、数ページ分の静けさを持ち帰ってもらえたら、それで十分なのだと思います。

ぜひ、手に取って読んでみてください。